オフィスビルや商業施設、ホテルなどで使われているファンコイルユニット(FCU)。普段あまり目にする機会がなく、名前を聞いたことがない人もいるかもしれません。でも実は、空調設備の中でも非常に優秀で、使い方次第では大幅な省エネやコスト削減にもつながる機械です。この記事では、ファンコイルユニット(FCU)の具体的なメリットについて、わかりやすくご紹介します。導入を迷っている方や、すでに導入済みで今後の運用に悩んでいる方にも役立つ情報をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
そもそもファンコイルユニット(FCU)とは?
ファンコイルユニット(FCU)とは、天井や壁に埋め込まれている空調機器の一種です。簡単に説明すると、水を使って空気を冷やしたり温めたりする仕組みです。冷たい水や温かい水を配管で送り、その水を使ってファンが空気を調整します。エアコンのように室外機と直接つながっているわけではなく、中央にある熱源機(ボイラーやチラー)でつくった水を使うのが特徴です。この仕組みによって、個別の部屋ごとに温度調整ができたり、省エネにつながったりするというメリットがあります。
ファンコイルユニット(FCU)のメリット1 細かい温度調整ができる
ファンコイルユニットの最大の魅力は、通年を通して部屋ごとに温度を細かく調整できる点です。例えばオフィスビルの中でも、南側の部屋は日差しが強くて暑くなりやすいけれど、北側の部屋は寒い…なんてことはよくありますよね。ファンコイルユニットなら、それぞれの部屋の状況に合わせて温度設定ができるので、「暑すぎる」「寒すぎる」といった不満を減らすことができます。オフィスだけでなく、ホテルの客室や病院の病室など、お客様ごとの快適さを重視する施設にもピッタリです。冒頭申し上げた『通年を通して』というのが重要です。近年では温暖化の影響で場所によっては外気温が40℃を超えることも珍しくなくなってきております。そうした環境だと室外機の負担も大きく十分な機能を発揮し続けることができませんが、ファンコイルユニットでは熱源装置や冷却塔などの関連設備さえ問題なくしっかり機能していれば快適さを保ち続けることが可能です。
ファンコイルユニット(FCU)のメリット2 省エネで経済的
もうひとつの大きなメリットは、省エネ性能です。ファンコイルユニットは、空気ではなく水を使うため、冷媒ガスに比べて環境負荷が少なく、効率的に温度を調整できます。また、使用していない部屋の空調をオフにできるので、無駄な電気代をカットすることも可能です。
最近は光熱費が高騰しているので、こうした省エネ効果は非常に重要なポイントです。空調にかかるコストを抑えたい施設管理者やオーナー様には、とても魅力的な設備と言えるでしょう。しかし、これはエアコンでも同様なことができますが、ファンコイルユニットとでは大きな違いがあります。エアコンの場合、設置する箇所の数が多くなれば室外機それぞれの設置環境の確保が必要となり、それに伴う冷媒配管などの工事は容易ではないことが挙げられます。
また、業務用マルチエアコンなどでは室外機が故障した場合、その故障した室外機とつながっている室内機はもれなく全て使えなくなってしまいます。こうした理由から設置場所ごとにはエアコンを採用したりファンコイルを採用したりを良し悪しで判断する必要があります。
ファンコイルユニット(FCU)のメリット3 設備の寿命が長い
実は、ファンコイルユニットは定期的にきちんとメンテナンスを行えば、非常に長く使える設備です。エアコンと違い、大きな室外機が不要なため、設備自体の負荷が少なく、構造もシンプルなので故障リスクが低めです。とはいえ、フィルターの目詰まりや、水漏れなどを放置すると一気に劣化する可能性もあります。定期的な点検と洗浄を行えば20年以上使用できることも珍しくありません。初期コストが高く感じるかもしれませんが、長い目で見ればコストパフォーマンスに優れた空調システムと言えるでしょう。
ファンコイルユニット(FCU)のメリット4 設置スペースを有効活用
もうひとつ意外なメリットとして、設置スペースがコンパクトで済む点も見逃せません。天井裏や壁の中に埋め込む形で設置されるので、室内のデッドスペースを有効活用できます。最近はデザイン性を重視したオフィスやホテルも増えていますが、ファンコイルユニットならインテリアの邪魔にならず、すっきりとした空間を実現できます。さらに、室外機が不要なので、屋外スペースも確保しやすく、建物全体の設計自由度も高くなります。
メリットを最大限に活かすには定期メンテナンスがカギ
ここまでファンコイルユニットのメリットをご紹介してきましたが、その性能を100%発揮するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。フィルターが目詰まりして風量が落ちたり、配管の汚れが熱交換率を下げてしまったり…。せっかく省エネ設備を導入しても、メンテナンスを怠れば本来の性能は発揮できません。MULTI INTECでは、ファンコイルユニットの定期点検や洗浄を専門的に行っています。ただ掃除するだけではなく、現場の使い方や設備の年数を踏まえた最適なメンテナンスをご提案します。「最近ちょっと効きが悪いな」と感じたら、早めにご相談ください。
まとめ
ファンコイルユニット(FCU)は、細かい温度調整ができる、省エネで経済的、設備寿命が長い、設置スペースを有効活用できるといったメリットが詰まった空調設備です。特にホテルやオフィスビルなど、多くの部屋を管理する施設には非常に相性が良い設備です。ただし、定期的な点検や清掃を行わないと、逆に光熱費が高くなったり故障しやすくなったりするリスクもあります。MULTI INTECでは、ファンコイルユニットを知り尽くしたプロが点検・清掃・修理・工事までワンストップで対応しています。ぜひ、安心してご相談ください。